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La grave |
それは、ユースホステルで同じ部屋になったある1人のフィンランド人バックパッカーの一言から始まりました。 「ラ・グラーヴって山知ってるか?」 私は知らなかったので、それはどんな山なのか尋ねました。 彼曰く、世界中のフリーライダーが滑りに来る山とのこと。 別の日にフランス人の友人、アレックスに詳しく説明してもらいました、スキー場というより、ひとつの山にロープウエーが1本掛かっていて、3000mオーバーのトップからどこでも降りてくることができるとのこと、想像しただけでヨダレが出てきます。 「行きたい?」「うん」「じゃ、行こう」 というわけで、アヌシーを朝5時30分に出発した私とアレックス、そしてもう1人の友人、アントワーヌの3人は、グルノーブルの街を越え、東へ進むこと約3時間半、ラ・グラーヴの町に到着しました。 まだ、ロープウエーの営業が始まってないというのに、ロープウエーの入り口はすでに人だかりです。 ファットスキーもしくはスワローテイルのスノーボードにヘルメット姿のヒトがかなりいて、いちばん最初に滑るのは俺だと言わんばかりにロープウエーに乗るために並んでいます。 というのも実は2日前に雪が降った後の土曜日だったので、こういう時はフランスだろうがカナダだろうが日本だろうが例外なく殺気立っていますね。 ラ・グラーヴのロープウエーは日本で言うゴンドラのカプセルが5つ連続して繋がっていて、ゴンドラたちが駅に到着する度、速度を落として乗車するという、ちょっと古いタイプでした。 ひとつのカプセルは6人乗りです、そのため決して効率の良いシステムとは言えなくて、乗車待ちの列がなかなか進みません。 1時間ほどリフト待ちをして、ロープウエーを2本乗り継ぎ、山頂に着くのですが、そこは別世界でした。 標高3200mの頂上付近一帯は、効率の悪いロープウエーも手伝って、そんなに人も多くなく、パウダーが残っていました。 ここで、アレックスの知り合いのパウダー大好きおじさん達のグループ4人と合流、「ここは氷河だから、とにかく気を付けて」と彼らの案内のもとに山を下っていきます。 山頂エリアに、更に3550mまで登るTバーリフトが2本とわずかな部分を、圧雪車が整備している以外、とにもかくにもクレバスというリスクを併せ持ったオフピステです。 けど、それが、パウダー大好きフランス人達と1人の日本人にはたまりません! みんなそれぞれスキーとスノーボード、2つの道具を用いて、奇声(喜声?)をあげながら思い思いにターンを描いていきます。 標高3000m前後で極上パウダーを堪能し、2000m前後でやや重いパウダー、そして森林限界の下に入ってからはツリーランと、登ってきたときの長いリフト待ち、長い距離のロープウエーの後に、更に長ーく感じるコースを滑り降ります。 最後はどうなるかというと、ロープウエーの麓の駅、そしてラ・グラーヴの町よりも低い所にたどり着き、谷を越え、板を担いで谷を登り、元の場所に到着します。 今シーズンのフランスは雪不足だったため、麓の部分にはほとんど雪がなく、滑ってたどり着くのがやっとという感じでした。 しかも、着いたらお昼になってました。 休憩と昼食を麓の駅の駐車場でとります、陽気なおじさん達ははるばる日本から来た(自分たちより)若いスノーボーダーに「チーズ食うか?」「ワイン飲めや」「生ハムうめーぞ」とそれぞれ持参してきたお昼を分けてくれます。 フランスの日帰りスキーヤー達にとって、フランスパン・ハム・ソーセージ・チーズ、そしてワインもしくは水を持参して、思い思いに食べるのがお昼の定番です。 このような連中といつも滑っているので、レストランに行くことはあまりないですね、もちろんこの方が安上がりなのは言うまでもありません。 お昼休憩の後に、また山頂まで登りました。 朝ほどロープウエーは混んでませんでしたが、なにしろ古いため、いくらか待たされます。 今度は別のルートをとりましたが、午後になっても山頂付近の雪質は変わらなく、まだいくらかノートラックも残っていました。 この山には少し効率の悪いロープウエーの方が人も来なくてちょうどいいのかもしれないな、なんて後になって考えたりします。 で、山頂から麓まで3550m→1400m、つまり標高差2150mのダウンヒルを午前と午後1回ずつ行ったら、みんなもういっぱいいっぱいになってしまい、おじさん達は早くビールモードに切り替えたがってます・・・。 しかしすごい山でした。 コースがないので初・中級者には難しいですが、整地されたゲレンデはあまり面白くないなんてヒトにはたまらないスキー場だと思います。 最後になぜ、ヨーロッパをはじめ海外でここが有名なのか、それは毎年行われているチャイニーズダウンヒルの大会があるからでした。 ちなみに優勝者クラスは4分(!)でこの山を降りてくるそうです。 |
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聖地への登り口 すでに殺気立ってます |
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確かに聖地でした… | |
一緒に滑った パウダー大好きおじさん達と 山をこよなく愛する男 アレックス(いちばん右) |
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